Salon du Chocolat Bruxellesのロゴマーク 写真提供:Salon du Chocolat
1995 年、パリで始まって以来、すでに世界24都市で開催され、毎年世界中で100万人以上を動員する人気イベント『サロン・デュ・ショコラ』が、とうとう今年 2月、チョコの本場ベルギー・ブリュッセルでも開催される。チョコレートをテーマとする祭典ともいうべきこのイベントが、本家本元ベルギーで、これまで開 催されていなかったことの方がむしろ驚きかもしれない。
開会を飾るチョコレートのファッションショー 写真提供:Salon du Chocolat
日本では、今年すでに12回目を迎え、1月22日から27日まで、東京、京都、名古屋、大阪、札幌、仙台、福岡などで行われるが、毎年、大盛況で、 テレビのニュースでもしばしば取り上げられるので知名度はなかなかのようだ。しかし、日本でのそれが、バレンタイン商戦を前にした、女性向けチョコレート 大売出しのような様相を呈しているのに対し、欧州でのイベントは、大人も子供も、著名ショコラティエやパティシエも、プロの技と演出力を惜しみなく披露す る、魅力たっぷりの華麗なスペクタクルだ。(
サロン・デュ・ショコラ日本公式サイト)
今年2月7日〜9日の週末、ブリュッセル北東部の再開発地域にできた、4000平方メートルの大催し物会場『Tour et Taxi』で開催される、ブリュッセル初の『サロン・デュ・ショコラ』のプログラムを覗いてみよう。まず、世界各地で行われてきたサロン・ド・ショコラと 比べて、格段の魅力なのは、ずばり、ベルギーを代表する世界的に著名なショコラテリ、チョコメーカー、関連業者が約90社も参加協力している点だ。
日本人やアメリカ人が恋焦がれる「ベルギーチョコ」の銘柄は、GODIVAも、NEUHAUSも、PIERRE MARCOLINIも、LEONIDASも、DARCIも、当然勢揃い。宝石のようなデザートが評判のパティシエやミシュラン星付きのシェフ達も共演す る。ブリュッセルやブリュージュにある3つのチョコレートのテーマ・ミュージアムも、チョコレート・デザートを教えるクッキング・スクールも、出版社も、 ファッション・デザイナーも、一同に会して、チョコレート王国ベルギーの名に恥じないイベントにしようと意気込んでいるようだ。
週末のイベントは、まず、プレス対象の前夜祭、2月6日夜のファッションショーで開幕する。チョコレートで作られた奇想天外なファッションをお披露 目するこのショーは、サロン・デュ・ショコラではすでに定評があるが、今回は、ダルシー、デュコブ、ブリュイエールなど、ベルギーを代表するショコラティ エの面々が腕を振るう。ショーは期間中、3回行われ、ファッションは会場に展示されて誰でも味わう、いや鑑賞することができる。
子ども達のためのチョコ体験『チョコランド』 写真提供:Salon du Chocolat
もうひとつの目玉は、金曜日から日曜日までの3日間、1時間ごとに設定された大物ショコラティエやシェフによるデモンストレーションだ。たとえば、 7日(金)のプログラムを見ると、ミシュラン2つ星のレストランPastoraleのBart de Pooter氏や、同じく2つ星レストランChâteau de MylordのThomaes兄弟などの超有名シェフ、そしてPierre Marcolini氏やJean-Philippe Darcis氏という大御所ショコラティエが、次々と現れ、目の前でチョコレート捌きの腕前を披露する。普段、とても直に見ることのできない巨匠たちの技 を、これだけまとめて立て続けに見ることができるのは、ここブリュッセルならではの醍醐味と言えるだろう。
見るだけでは物足りない人々には、体験型の催しも用意されている。『チョコランド』では、4〜10歳までの子ども達に、チョコをこねて楽しみ、その 上、食べちゃうチョコ遊びを実施。プロはだしのアマチュアには、ブリュッセルで人気のクッキング・スクールZaabärやMmmmmh!が、ほんの少しだ け、プロの秘伝を教えるワークショップを無料開催してくれる。
展示でも、興味深いものが盛りだくさんだ。ベルギーにある3つのチョコレート・ミュージアムが、ベルギーチョコの歴史展に総力をあげる。2012 年、ブリュッセル王立芸術学院に新設されたFood Design科マスターの学生達による『Vivre Chocolat』展も楽しみだ。そして、チョコ好きにはたまらない魅力は、なんといっても大手チョコレートメーカーの趣向を凝らした展示や新製品の発表 ということになる。
有名ショコラティエが腕を振るうデモンストレーション 写真提供:Salon du Chocolat
たとえば、Leonidasは、創立100年を記念して、同社のシンボル「ギリシャ・スパルタ王」のチョコレート・モニュメントを製作中で、サロ ン・デュ・ショコラの目玉として披露する予定だ。1912年始めてプラリネを発明し、美しいバロタン(量り売りの小箱)を開発したことでも知られる Neuhausは、近年導入した新シリーズ『Cornet Doré』に、サロン・デュ・ショコラを記念した、新しいフレーバーを発表する予定だ。Neuhausの戦略商品として今後外国市場でのブレイクが期待さ れている。世界銘柄Godivaは、40平方メートルの大ブースで、「チョコレート・エクスペリエンス」と題するユニークな展示を計画している。近年、日 本でも人気の高級ブランドPierre Marcoliniも新製品発表が期待されている。
サロン・デュ・ショコラでは、週末の後も、その余韻を楽しめるように、協賛チョコレート店10軒で味見のできる「チョコレート・パス」を販売する。 パスは6EUR、市内の観光局でも販売される。ブリュッセル市内の観光に、チョコラリーの楽しみを加えて、ベルギーを代表する本格的チョコレートを味わっ てみてはいかがだろう。
それにしてもベルギーのチョコレートは美味しい。ベルギー人が一人平均年間10キロ近いチョコを消費してしまう理由もわからないでもない。
サロン・デュ・ショコラが世界中で開催されるにしても、ブリュッセルのそれを見るために、バレンタイン前にベルギー旅行を計画する価値は多いにありそうだ。来年の休暇計画をお早めに。
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Le Salon du Chocolat(ブリュッセル)
(2014-01-24 PUNTA掲載)