ベルギーのパーティ文化は本物志向
サンタじゃなくてサン・ニコラ
美食の国ベルギーはオーソドックス
ベルギーでパーティといえば、ゲストを自宅に招き、着席で、前菜から始まるコース料理でもてなすのが当たり前。毎週末のように招き合うので、予定は2~3ヶ月先までみっちりというファミリーも多い。小さな子どもはベビーシッターを頼んで置いていくか、先方にも小さな子どもがいる場合は、一足先に食べさせて、別室に寝かしつけてしまう。
夏のガーデン・バーベキューでも、子どもが主賓のパーティでも、手間暇かけて用意したテーブルクロスやキャンドルなどで食卓を念入りに飾り付け、話題や年齢などを配慮してホストが席次を決める。ベルギー・フランス語では、Dînerとは「ご馳走」を意味し、必ずしも夕食とは限らない。伝統的には、日曜朝のミサを終えて昼に食べるご馳走がDînerだからだ。季節やお客を考慮した食材や料理法、食器、カトラリー、カラフ、シャンペンやワインのすべてにホストのセンスが問われる。
あくまで本物にこだわるベルギー人気質どの家にも、雨や日除けの食卓用のテントや巨大なパラソル、簡易テーブル板や脚、テーブルクロス、すさまじい量の食器やグラス、カトラリーが、地下倉庫や屋根裏部屋に常備されていて、あっという間に皆が座って食べられるだけの席が作られてしまうのには驚きだ。使い捨ての紙皿なんてもってのほかだ。
冬のパーティ・シーズンは、12月6日のサン・ニコラのお祭りに始まり、クリスマス、サン・シルベストゥル(大晦日)を経て、1月6日のガレット・ド・ロワで終わる。「サン・ニコラって、サンタクロースのこと?」と聞くと、「サンタなんか来ないさ。」とあくまで「本物」にこだわる。本物とは、ロバの背にたくさんのプレゼントをくくりつけ、スペインからやってくるというカトリックの司教サン・ニコラ。これをモデルに、アメリカ人広告マンが創り上げたのがサンタクロース。子どもたちは暖炉のまわりに好物とされているニンジンやビールを置いて、その到来を待つ。クリスマス・イヴの夜だけはミサに参列する人も多く、その後、親族の家に集まってご馳走を食べる。レストランはすべて閉まり、街はひっそり静まり返る。普段は結構エコロジストなベルギー人も、クリスマス・ツリーだけは、本物のモミの木にこだわる。針葉樹の青々した色と香りに包まれて冬のパーティ・シーズンを過ごすためだ。
パーティの風習やご馳走の内容は、隣国フランスに限りなく近い。ただ、移民や観光客が少ない分だけ、保守的な作法や価値観が根強いようだ。たとえば、カトラリーの使い方。肉や魚はもちろん、ピザやハンバーガーでさえ、ナイフとフォークが出てきたりする。子どもでも右手にフォークはご法度だ。
<月刊アルコムワールド 2010年12月号掲載>
http://alcom.alc.co.jp/